ボディパーカッション教育振興会"

お問合わせ


感動!3万5千人のボディパーカッション

第15回全国スポーツ・レクリエーション祭「スポレク広島2002」

はじまり

子どもからお年寄りまで、誰もが気軽にスポーツ・レクリエーション活動に親しむことを目的に開催される祭典、第15回全国スポーツ・レクリエーション祭「スポレク2002」の開会式で、会場を埋めた3万5千人により史上最大のボディパーカッション演奏が行われた。

10月5日(土)/広島広域公園陸上競技場(広島ビックアーチ)
文-山田俊之(福岡県久留米市立荒木小学校教諭)
写真-吉永陽一郎

参加者の心を一つにしたい

平成12年の冬に、目本レクリエーション協会の関係者の方から、「ボディパーカッションの講習会を広島で開きませんか」とお話しをいただき、翌年の夏に「女性リーダー研修会」でボディパーカツション・ワークショツプを開くことができました。そのとき、「スポレク広島2002」の大会関係者の方々も見学されていて、ワークショップ終了後に大会関係者の方から「スポレク広島2002」の開会式で、ボディパーカッションをやったらどうだろうか、という提案を受けました。「ボディパーカッションは、会場にいるみんなが参加できて、それも短時間で心を一つになって楽しめる」という思いを抱いたからだそうです。
次の日、さっそく開会式会場となるビッグアーチに行ってみました。とにかく大きい。スタンドの両端が約250メートルありました。音は1秒間で約340メートル進みますから、反響を考えるとテンポ♪=120で約2拍近くずれてしまう計算になります。正直なところ「できるだろうか?」と悩みましたが、これだけの人数で行えるせっかくのチャンスだからチャレンジしてみることにしました。

リハーサルではリズムが合わない!

実際に行う場合、私一人ではとうてい会場全体をリードすることができません。そこで、広島県の国泰寺高等学校の生徒200名と、アクション・リーダー(インストラクター)80名の計280名で会場全体のリードをすることになりました。数回の打ち合わせやアクション・リーダーの研修を経て、本番2週間前から練習を行いました。
演奏曲は4パートで行う「手拍子の花束」(山田俊之作曲)です。
大きな会場でやるときに大切なことは、音よりも目で合わせることだということが何度かやってみて分かりました。そこで、スクリーンに私の指揮を映してもらい、それに全員が合わせるようにしました。聾学校(聴覚障書)での私の指導体験が生きたわけです。
いよいよ本番前日、会場で行う初めてのリハーサルです。まず、会場を4つのブロツクに分けて、その1ブロックのなかをさらに4パートに分けました。1ブロックのなかでも観客の方々がアンサンブル感を味わえるようにするためでした。
とりあえず、今まで練習した通りに、行ったのですが、結果は失敗でした。リズムが合いませんでした。そこで、「とにかく昔を聞かないで、テンポを出している私の指揮を見て演奏をお願いします」とだけ伝えました。
どうにかリハーサルを終えて宿舎に戻った私は、何度も本番のためにシュミレーションを行いました。その結果、成功させるためのポイントは次の点にあると考えました。
・各パートの4つの基本のリズムをいかにわかりやすく説明できるか
・アクション・リーダーの重要性と役目
・最初のテンポの出し方
・見て合わせることの大切さ
・指先をスクリーンに映し出してもらい、どう指示していくか
・エンディングの合わせ方(ここが一番大きなポイント)

教室から始まったリズム遊びが3万5千人のがボディパーカッションに結実

いよいよ本番当日。アクション・リーダーの方々へ最後の説明をして練習を行いましたが、この開会式を成功させたいという思いが昨日より強く伝わってきました。
20分間のリハーサルが始まりました。私はスタジアムの真ん中にいるので、どうしても自分が出したテンポと音がずれて聞こえてきます。そこで私は、最初に出したテンポを忠実に出すことだけを心がけ、不自然なのですが会場全体の音を聞かないようにし、会場全体の手の動きが合っているかだけを確認しながらテンポを出していきました。
そして、リハーサルは80パーセント成功しました。
いよいよ開会式。演奏の説明があっという間に終わり、そして演奏が始まりました。「運を天に任せる」とはこんなときのことを言うのでしょう。私は「テンポをしっかり出すこと」、これだけを自分に言い聞かせていました。そして、気がつけばみんなの声が「ヤアッ!」と会場全体に響き渡っていました。3万5千人のボディパーカッションが成功した瞬間でした。
教室の中で始まったリズム遊びが発展してできたボディパーカッション。16年前に子どもが言った「身体が太鼓になるね」から名付けたボディパーカッション。みんなの心を一つにしてくれたボディパーカッション。「3万5千人のボディパーカッション」の音を体感できたことに感謝します。
-以上、音楽之友社「教育音楽・小学版12月号」より引用-

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